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中学受験算数の学習では、前回紹介した「数の性質」という単元が必ず登場します。
前回のおさらい。

その中でも「約数の個数を求める問題」は、子どもたちが時間をかけすぎてしまったり、途中で混乱してしまうことが多い分野です。
ですがご安心ください。実は素因数分解という基本的な考え方を身につけるだけで、約数の個数は一つひとつ数え上げなくても、落ち着いて確実に求められるようになります。
これは入試問題でも頻出の重要ポイントであり、早めに理解しておくことで算数全体の学習に大きな自信を持てるようになります。
この記事では、素因数分解の基礎から約数の個数を効率よく求める方法、さらに実際の入試問題での活用例までを順を追って丁寧に解説していきます。
お子さまが「できた!」と実感できるようになるためのサポートとして、ぜひ参考にしてみてください。
モコスタ統括マネージャー
小澤 珠美

大学卒業後、大手進学塾で高校受験・中学受験の指導に15年間従事。特に中学受験において、御三家中学をはじめとする超難関校の算数指導・受験対策・保護者のサポートに尽力し、合格実績に貢献。
その後独立してさらなる成果を出し続けモコスタ専属の指導者となる。これまでに蓄積したすべてのノウハウを投入し、モコスタに通う受験生全員の第一志望校合格を全力でサポートする。
著書:『中学受験超成功法「ママは楽しく息を抜く」』ギャラクシーブックス 2017年
共著:『未来を創る〜私たちが選んだ道〜 輝く女性起業家』ブレインワークス 2017年
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素因数分解とは?

素因数分解とは、ある数を、それ以上分けられない「素数」という特別な数のかけ算に分解することです。
素数とは、1とその数自身でしか割り切れない数のことです。
2,3,5,7,11,13,17,19,23,29…
それでは、素因数分解を使った問題を見てみましょう。
この決まりが基本となるので、忘れないようにしてください。
素因数分解と約数の個数を求める問題
次の整数を素因数分解しなさい。また約数の個数を求めなさい。
(1)144 (2)180
(解説)
素因数分解をすることで、約数をすべて書き出さずとも約数の個数を求めることができます。
【約数の個数の求め方】
a×a×a×…×a×b×b×b×…×b×c×c×c
↓ ↓ ↓
▢個 △個 ☆個
上記のようになる整数の約数の個数は、(▢+1)×(△+1)×(☆+1)で求めることができます。
(1)2×2×2×2×3×3 約数の個数15個
※約数の求め方:(4+1)×(2+1)=15
(2)2×2×3×3×5 約数の個数18個
※約数の求め方:(2+1)×(2+1)×(1+1)=18
素因数分解を使った応用問題

素因数分解の基本を使って少し難しい問題にチャレンジしてみましょう。
答えが合っているだけでなく、解き方を理解しているかを確認するようにしてください。
箱にボールを入れる問題
1から50の番号が書かれた空の箱がひと箱ずつあります。
これらの箱に次の手順でボールを入れていきます。
手順1 1の倍数の番号が書かれた箱にボールを1個入れる
手順2 2の倍数の番号が書かれた箱にボールを1個入れる
手順3 3の倍数の番号が書かれた箱にボールを1個入れる
↓
手順50 50の倍数の番号が書かれた箱にボールを1個入れる
この時、次の問いに答えなさい。
ただし、ボールが足らなくなることはありません。
(1)ボールが2個入っている箱は何箱ありますか。
(2)ボールが3個入っている箱は何箱ありますか。
(3)ボールが6個入っている箱は何箱ありますか。
(解説)
一見、倍数の問題にも見えます。
各箱を見ていきましょう。
手順1でボールが入るのは、1~50までのすべての箱になります。
手順2でボールが入るのは、2,4,6,8,10…の偶数の箱になります。
手順3でボールが入るのは、3,6,9,12…の3の倍数です。
手順1~10まで終わった時にそれぞれの箱を考えてみます。
1番の箱には、1個(手順1で入ったもの)
2番の箱には、2個(手順1と2で入ったもの)
3番の箱には、2個(手順1と3で入ったもの)
4番の箱には、3個(手順1と2と4で入ったもの)
5番の箱には、2個(手順1と5で入ったもの)
6番の箱には、4個(手順1と2と3と6で入ったもの)
7番の箱には、2個(手順1と7で入ったもの)
8番の箱には、4個(手順1と2と4と8で入ったもの)
9番の箱には、3個(手順1と3と9で入ったもの)
10番の箱には、4個(手順1と2と5と10で入ったもの)
こう見てみるとそれぞれには、箱の番号の約数の個数分だけボールが入っていることに気づきますね。
つまり、
(1)2個ボールが入っているのは約数が2個の数、素数を書き出すことになります。
2,3,5,7,11,13,17,19,23,29、31、37、41、43、47なので、15個となります。
答え 15個
(2)約数3個は、素数の平方数になるので、
2×2=4、3×3=9、5×5=25、7×7=49の4個となります。
答え 4個
(3)約数6個の整数は、次の2パターンになります。
①a×a×a×a×aのパターン
2×2×2×2×2=32
②a×a×bのパターン
2×2×3=12
2×2×5=20
2×2×7=28
2×2×11=44
3×3×2=18
3×3×5=45
5×5×2=50
よって、約数6個の場合は8箱となります。
答え 8箱
入試問題にチャレンジ!【2025慶応普通部】
4桁の整数について、上の2桁と下の桁の枠を考えます。
例えば、1234を上2桁と下桁に分けると12と34で、その数は46です。
(1) 2024から、2024の上の桁と下の桁の和である44を引いた数を、2つの整数の積で表します。2つの整数の差が最も小さいのは、いくつといくつの積ですか。
(2) 2025 は、2025の上の2桁と下の2桁の和である45で割り切れます。2100未満の整数で、このようにもとの4桁の整数が、その整数の上2桁と下2桁の和で割り切れる数のうち、2番目に大きい数はいくつですか。
(解説)
(1)2024-44=1980を2つの積で表します。
約数の掛け算のペアで考えていきます。
素因数分解をすると
1980=2×2×3×3×5×11になります。
約数の差が最も小さいペアが何番目の約数かを考えます。
上の素因数分解より、(2+1)×(2+1)×(1+1)×(1+1)=36(個)の約数があることがわかるため、18番目と19番目の積が最も差が小さいことになります。
約数を書き出していきましょう。
書き漏れを防ぐため、ペアで書き出すのが基本ですが、ここでは素因数分解したものを活用しながら書き出していきます。
1,2,3,4,5,6,9,10,11,12,15,18,20,22,30,33,36,44,45…となるので、答えは44と45になります。
答え 44,45
(2)もとの4桁の整数をA,上2桁と下2桁の和をBと表すことにします。
Aが1減るとBも1減るため、差は一定になります。
Aは、20▢△と考えると、Bは20+▢△と表すことができます。
よって、一定であるA=2000+▢△、B=20+▢△の差は、2000-20=1980になります。
▢△は99以下なので、20+99=119以下の1980の約数を考えていきます。
(1)で書き出した約数を活用していきます。
12×165、15×132、18×110、20×99となり、99が2番目に大きい約数であることがわかります。
よって、1980+99=2079
答え 2079年
(1)が(2)のきれいな誘導になってる問題ですね。
初見でここまで手を動かすのは大変ですが、約数の性質をしっかり理解していることが確認できる良問ではないでしょうか。
5年生であれば、読み物としてこの解説を読み、理解ができれば十分かと思います。
まとめ
今回の記事では、数の性質の中でも特に重要な「素因数分解」と「約数の個数の求め方」について解説しました。
一見複雑に見える問題でも、素因数分解を活用すれば、約数を一つひとつ数え上げる必要がなく、効率的かつ正確に答えを導くことができます。
中学受験算数では、こうした「仕組みを理解して使いこなす力」が問われます。
基礎をしっかり押さえておけば、応用問題や入試問題にも落ち着いて取り組めるようになります。
お子さまが「できた!」という達成感を積み重ねていけるように、ぜひ日々の学習の中で素因数分解の考え方を繰り返し確認してみてください。
小さな理解の積み重ねが、大きな自信につながっていきます。
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